上田市小泉自治会
鍵を握る「判断力」
2014年から2021年にかけて広島市を幾度となく襲った豪雨災害は、様々な側面から有名な事例です。2014年の初回被災では77名の犠牲者が出るという最悪の事態になりました。これを重く見た広島県と広島市は、徹底した検証と対策を積み重ね、2018年の際は犠牲者3名、そして2021年ではついに犠牲者ゼロを達成し、本格的な対策によって被害は最小限に抑えられることを実証しました。
2014年で多数の犠牲が発生した理由として、それまで特に初期警戒警報の基準が曖昧で段階が少なかったため、未曾有の豪雨による事態の進行スピードに対応できていなかったこと、そしてその結果として警報を出す係員が混乱と迷いで発令が遅くなり、発令された時にはすでに手遅れだったことが最大の原因と結論付けられました。この時の豪雨は広島市安佐南区と安佐北区という限られたエリアに集中し、24時間あたりの総雨量は372ミリ、1時間あたりの最大雨量は121ミリ、がけ崩れ土砂崩れが合計166カ所、1分あたり平均で40回の落雷という、まさに現場は地獄絵図のような状態だったようです。このようにわずか数時間の間に急激に事態が進行するような事例の場合、人は混乱と恐怖で適切な行動ができにくくなります。広島の現場の住民も多くの人が家に中にいたほうが安全と判断したのでしょう。結果的には対策側の判断ミスと重なって大きな犠牲に繋がってしまったのです。
逆に、水害などのように比較的緩やかに進行する事例の場合、人の判断力には「正常性バイアス」が大きな障害となります。人は日常生活の中で、ひとつひとつのことを細かく真正面から受け止めていると、神経質になりすぎたりストレスが溜まって生きにくくなるため、多くのことを日常の範囲内で特別に取り上げる必要はないものと処理をする特性があります。これが正常性バイアスです。それ自体は穏やかな生活を営むために大事な心理構造なのですが、災害時には大きな障害になってしまいます。「今まで大丈夫だったから」「自分は大丈夫」「なんとかなる」「他の人はどうする?」など、これらはすべて災害時の正常性バイアスと考えられ、事態が進行する過程で逃げ遅れなどが生じる最大の要因です。東日本大震災の時の茨城県大洗町では、来襲する津波に対し「緊急避難命令、緊急避難命令」「大至急全員高台に避難せよ、大至急高台に避難せよ」という強い口調で行政無線放送を繰り返し、住民の多くが早期に避難できたという記録もあります、つまり、災害時には行動の障害となる正常性バイアスを早い段階で打開し、住民の危険スイッチを押して適切な行動につなげる必要があるのです。
こういったことからわかることは、災害時では人の判断力が正しく機能しないことが多くなり、結果として被害の増大につながります。当ホームページに搭載しているAIは、災害時において人の判断力を補うことを学ばせてあり、正常性バイアスも早い段階で打開するよう設定されています。災害時には災害情報として事態の進行と注意点を掲載しますので、こまめに災害情報ページを更新して安全な行動にお役立てください。